6月18日の大阪北部地震で小学4年の女の子がブロック塀の下敷きになって亡くなりました。これから先、きっと素晴らしい人生が待っていたに違いないだけに、残念でなりません。
地震は自然現象ですが、彼女の死は人災だったと言ってもいいと思います。
行政の不適切な対応によって起きた今回の不幸な事故を検証します。
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ブロック塀が地震で倒れて犠牲者が出たのは天災ではなく人災であるワケ
まず、今回の地震で倒れたブロック塀により犠牲になった高槻市立寿栄小学校4年生の三宅璃奈さん(9歳)に、天国で安らかに眠るよう哀悼の誠をささげたいと思います。
大阪から離れたところに住んでいる人にとっては、この犠牲を普通に「ああ残念だ、かわいそうに」と思うだけの人もいると思います。
しかし、もし自分の娘や孫だったらと静かに思いを巡らしてみると、あまりにも早すぎた人生の終わりに何とも言えない無念な気持ちを抱かずにはいられません。
さて、ブロック塀が地震で倒れやすいことが広く知れ渡ったのは、1978年6月の宮城県沖地震で宮城県内でブロック塀の倒壊で18人が犠牲になったことによります。
これを受けて1981年に建築基準法が改正され、ブロック塀に対して様々の規制が法律で設けられました。
・ブロック塀の高さ制限が3メートルから2.2メートルに
・中に必ず鉄筋を縦横に通す
・高さ1.2メートルを超えるブロック塀には「控壁」を付けて強度を補強する
さらに、管理面でも3年ごとに安全性の点検が義務付けられています。
今回の事故について、日にちが経つにつれていろいろと明らかになってきました。
これらすべての決められている項目に渡って見逃されていたのです。
・高さは2.2メートルの制限を超えて3.5メートルで長さ40メートルも
・高さ1.9メートルの基礎の上に積み上げられた1.6メートルのブロック塀に、鉄筋は底部から縦に30センチ入っているだけ
・高さ1.6メートルあった上部のブロック塀には、1.2メートルを超えると設置されるべき「控壁」は無し
・対象のブロック塀は3年ごとの耐震チェックの対象外
さらに罪深いのが、専門家がブロック塀の危険性を指摘し、連絡していたにも関わらず、小学校からの要請で耐震性のチェックをしたのが教育委員会の専門家でない人間だったことです。
簡単な目視と打音検査などで耐震性問題なしとしてしまったのです。
しかも、「控壁」がないことも見逃しています。
つまり、教育委員会は素人に重要な検査をさせていたのです。
これを人災と言わないで何を人災というのでしょう。
まさに人災そのものです。
まとめ
これまで建物に関しては耐震性の改善が図られてきました。
ブロック塀については危険性を頭では理解していても現実の問題としてのとらえ方が十分とは程遠いものでした。
今回の事故を機に、全国各地でブロック塀の点検が始まっています。
ぜひ犠牲になった女生徒の尊い命を無駄にしないために、徹底して安全な街づくりを進めてほしいと思います。
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