梅雨時から夏に掛けては気温と湿度が高くなる季節なので、食中毒の原因となる細菌の繁殖が通常より活発になります。
そうなると、当然のごとく食中毒の件数や患者数が1年の中で多くなることが予想されます。
ところが、事実は違うのです。過去10年間のデータをもとに食中毒発生の実態に迫り、原因究明と効果的な予防対策を紹介します。
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食中毒が多い時期はいつ?
食中毒が多い時期は梅雨時から夏に掛けては気温と湿度が高くなる季節と思いがちです。
また、実は秋口にもっとも多くなるという意見もあります。
さらには以外にも冬に多いという説もあります。
これらはどんな根拠に基づいて言われているのか疑問に思ったので、東京都福祉保健局が出している平成19年から28年までの食中毒発生推移のデータをもとにまとめてみました。
以下はその結果です。
過去10年間の食中毒の発生推移-最小月・最多月・年間合計
食中毒発生件数(件)
年/件数 | 最少件数 | 最多件数 | 年間件数 |
平成19年 | 3(7,11月) | 13(12月) | 83 |
平成20年 | 5(3,7月) | 15(6月) | 106 |
平成21年 | 5(3,11月) | 31(12月) | 126 |
平成22年 | 7(7月) | 32(1月) | 143 |
平成23年 | 3(3月) | 19(1月) | 133 |
平成24年 | 7(5,8,10月) | 20(12月) | 142 |
平成25年 | 3(3,5,10月) | 13(8,12月) | 87 |
平成26年 | 2(5月) | 14(9月) | 103 |
平成27年 | 4(8月) | 23(1月) | 149 |
平成28年 | 6(5月) | 16(3月) | 136 |
食中毒発生患者数(人)
年/患者数 | 最少患者数 | 最多患者数 | 年間患者数 |
平成19年 | 14(7月) | 476(5月) | 2,050 |
平成20年 | 22(7月) | 320(11月) | 1,442 |
平成21年 | 47(7月) | 561(12月) | 1,847 |
平成22年 | 56(7月) | 527(1月) | 2,006 |
平成23年 | 39(4月) | 328(12月) | 1,515 |
平成24年 | 39(7月) | 505(1月) | 2,103 |
平成25年 | 10(10月) | 262(6月) | 1,324 |
平成26年 | 10(5月) | 246(1月) | 1,096 |
平成27年 | 16(8月) | 780(1月) | 2,258 |
平成28年 | 24(5月) | 332(12月) | 2,309 |
この表をさらに要約しました。
過去10年間で
食中毒発生件数の最少月:3月が4回、5月と7月が3回
食中毒発生件数の最多月:12月が4回、1月が3回
食中毒発生患者数の最少月:7月が5回
食中毒発生患者数の最多月:1月が4回、12月が3回
この結果からわかることは、
・梅雨から夏説は間違い
・秋口説も間違い
・冬説が正しい
という事実です。
食中毒発生時期は、件数も患者数も1月と12月、つまり冬に集中しています。
意外と思われるかもしれませんが、
食中毒が最も多い時期は冬!
なのです。
食中毒が冬に多い原因はなに?
この意外な結果は何が原因なのでしょう?
食中毒の原因の一つ、細菌が梅雨から夏の高温多湿時期に繁殖しやすいことは間違いありません。
そのことがわかっているため、私たちは食中毒にならないよう食べ物の保存に注意したり、手洗いなど気をつけます。
その効果が出て、意外と夏場には食中毒の発生が低く抑えられていると推測できます。
冬期は細菌の繁殖の心配が少ないので、食中毒は大丈夫と思いがちです。
ところが、食中毒を引き起こす原因は、細菌の他にウィルスがあるのです。
そう、あの有名な「ノロウィルス」はまさに冬場の寒い時にウィルスだからこそ強い感染力を持っています。
ウィルスは、細菌の繁殖に適した高温多湿ではなく、乾燥した低温の場所で活躍する冬大好きな厄介者なのです。
因みに「ノロウイルス」はダントツに感染力が強いため、食中毒の年間発生患者数の半数以上がこのウィルスによるものです。
食中毒の予防は3原則をしっかり守って
食中毒は時期によって原因が細菌だったりウィルスだったりと違いがあることがわかりました。
では食中毒の予防はどうすればよいのでしょう?
実は原因は違えども、予防対策はほぼ同じです。
次の予防の3原則をしっかり守って、食中毒を撃退しましょう。
食中毒予防の3原則
1.細菌やウィルスをつけない
食材に細菌やウィルスをつけないことです。
・食材に触る前に手洗いをしっかりする。
・包丁やまな板などの調理器具を生肉・生魚用とその他の食材用を分ける。
・調理器具を使ったらしっかり洗う。
トイレは細菌がつきやすいので、終わったらしっかり手を洗いましょう。
2.細菌やウィルスを増やさない
細菌やウィルスを増やさないようにします。
・食材の保存は冷蔵庫や冷凍庫を使う。
・生ものはお店で買ったら、常温に置かないようすぐ持ち帰って、冷蔵庫や冷凍庫に入れる。
冬でも暖房が効いていると、要注意です。
3.細菌やウィルスをやっつける
「つけない」や「増やさない」に気をつけても、細菌やウィルスを完全になくすることはできないと思っていた方がいいでしょう。
食材が元々お店にある時から細菌やウィルスがついている可能性もあります。
鶏肉の60%にはカンピロバクターという細菌が検出されています。
・食材にしっかり火を通して、細菌やウィルスを死滅させる。
お店で食べる生肉が問題になったことがありますね。
肉類は中までちゃんと火を通して食べるようにしましょう。
まとめ
「食中毒の予防は3原則を守って対策を!食中毒が多い時期は意外にも!」と題して、
・食中毒が多い時期はいつ?
・食中毒が冬に多い原因はなに?
・食中毒の予防は3原則をしっかり守って
についてお伝えしました。
食中毒が冬に最も多いことは意外だったかもしれません。
かと言って、高温多湿の梅雨時から8、9月も細菌の大活躍の時期なのです。
決して油断しないように、予防の3原則を徹底して、快適な食生活を維持するようにしましょう。
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