副業をしている人に税金面でメリットのある青色確定申告ですが、具体的にどれくらいメリットがあるのでしょう?
申告書類手続きが簡単な「簡易簿記」に対し複雑で煩わしい「複式簿記」は、メリットにどれだけの違いがあるのか知りたくありませんか?
今回は、簡易簿記と複式簿記では実際に所得税の納税金額としてどれくらい違うのかを調べてみることにしました。
次回の確定申告に向けて、どちらの青色申告を選ぶかの参考にして下さい。
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平成16年(2014年)度の青色確定申告に関する法改正で、複式簿記の控除額が55万円から65万円に増額されました。
したがって青色申告の控除額は、簡易簿記が10万円、現金式簡易簿記が10万円、複式簿記が65万円の3種類となっています。
前回の記事「事業収入少ない個人事業主は確定申告を簡易簿記の青色申告で控除を!」では、青色申告の入門編として申告書類作成が簡単な「簡易簿記」をおススメしました。
しかし、事業収入が徐々に増えるにしたがって、控除の大きい複式簿記にチャレンジする方がメリットが多くなります。
今回は、次回の確定申告の選択材料にもなるよう、簡易簿記と複式簿記で実際に所得税の納税金額としてれくらい違い出るのかを調べていきます。
あなたの事業規模に応じた青色申告を選ぶ参考にして下さい。
控除額10万円と65万円では納税額はどう違うか?
控除額の差が10万円と65万円では、実際に納める所得税はどう違うのかを事業規模(収入)ごとに比較してみます。
課税所得金額に対する税率と課税控除額の関係
過去1年間に稼いだ課税される所得金額に対する税率と控除額の関係を一覧表で示します。
課税所得金額 | 税率 | 課税控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
この表では上限1,800万円までしかありませんので、それ以上について補足します。
・所得金額が1,800万円を超え4,000万円までの税率は40%、控除額は2,796,000円
・所得金額4,000万円以上の税率は45%、控除額は4,796,000円
となっています。
所得税額の計算方法
簡単に計算式を示します。
計算手順はまず、上の表に出てきた「課税所得金額」を計算します。
・ 収入 - 必要経費 - 各種控除 - 青色申告控除 = 課税所得金額
次に上の表に基づき、計算で出てきた課税所得金額に税率を掛け、その値から課税控除額を差し引くと、「所得税額」となります。
・ 課税所得金額 × 税率 - 課税控除額 = 所得税額
*各種控除は、
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、基礎控除
などが相当します。
*青色申告控除は、
簡易簿記は10万円、複式簿記は65万円
となります。
収入別所得税の計算例
では早速、収入ごとに簡易簿記と複式簿記の違いによって所得税額がそれぞれどうなるのか、計算してみましょう。
売上500万円で必要経費250万円の場合
売上=500万円、必要経費=250万円、各種控除=50万円
の場合の所得税額の計算例です。
・簡易簿記の場合
500万円 - 250万円 - 50万円 - 10万円 = 190万円( 課税所得金額)
190万円 × 5% - 0円 = 9.5万円(所得税額)
・複式簿記の場合
500万円 - 250万円 - 50万円 - 65万円 = 135万円( 課税所得金額)
135万円 × 5% - 0円 = 6.75万円(所得税額)
この場合の所得税の額は
・簡易簿記=9.5万円
・複式簿記=6.75万円
となり、その差は複式簿記が2.75万円少なくなります。
この程度ならわざわざ煩わしい複式簿記にするまでもないか、とも思え、判断の分かれるところかもますね。
売上500万円で必要経費200万円の場合
同じく売上=500万円ですが、必要経費=200万円、各種控除=50万円
の場合の所得税額の計算例です。
・簡易簿記の場合
500万円 - 200万円 - 50万円 - 10万円 = 240万円( 課税所得金額)
240万円 × 10% - 9.75万円 = 14.25万円(所得税額)
・複式簿記の場合
500万円 - 200万円 - 50万円 - 65万円 = 185万円( 課税所得金額)
185万円 × 10% - 9.75万円 = 8.75万円(所得税額)
この場合の所得税の額は
・簡易簿記=14.25万円
・複式簿記=8.75万円
となり、その差は複式簿記のほうが5.5万円少なくなります。
この場合は、迷う人もいるかもしれませんが、できれば複式簿記にチャレンジしましょう。
必要経費が極端に少ない事業の場合
たとえばインターネットビジネスで商品を紹介するアフィリエイトや、情報商材を作って販売するインフォプレナーのようなビジネスに取り組んでいる場合は、規模にもよりますが、一般に必要経費が少なくで済みます。
売上は同じく500万円でも、必要経費が10分の1の50万円だったら、所得税額が簡易簿記と複式簿記でどうなるかを計算してみましょう。
売上=500万円、必要経費=50万円、各種控除=50万円
の場合の所得税額の計算例です。
・簡易簿記の場合
500万円 - 50万円 - 50万円 - 10万円 = 390万円( 課税所得金額)
390万円 × 20% - 42.75万円 = 35.25万円(所得税額)
・複式簿記の場合
500万円 - 50万円 - 50万円 - 65万円 = 335万円( 課税所得金額)
335万円 × 20% - 42.75万円 = 24.25万円(所得税額)
この場合の所得税の額は
・簡易簿記=35.25万円
・複式簿記=24.25万円
となり、その差は複式簿記のほうが11万円少なくなります。
これだけの差があればは、複式簿記で確定申告をする価値は十分ありますね。
まとめ
計算事例のように、同じ売り上げでも必要経費の額によって課税所得金額のランクが変わってきます。
そうなると、税率と課税控除額が変わるので、納める所得税額に差が出てきます。
今年、簡易簿記だった人も、来年は複式簿記での確定申告を予定してはいかがでしょう。
特に、来年に向けて売上げ増を計画している人は、十分そのメリットを出せるのではないでしょうか?
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